集中治療室と聞けば、機械音、騒々しい感じ、生命ぎりぎりの患者さんが在室しているというイメージではないでしょうか。

手術後や、救急搬送後等、高度で専門的治療を尽くし、命をつなぐために力を尽くす現場です。

ここには、診療科の垣根を越えたあらゆる疾患や状態の患者さんが入室し、落ち着くまでの期間、集中した医療と看護を持って地銀療養の場へ行く準備を行います。

看護師として、肉体的にも精神的にも重圧がある現場です。

では、集中治療室で看護師に求められる知識や技術についてまとめてみます。

必要な看護技術・知識

集中治療室に入室する患者さんは、疾患の特性上、治療上、安静を強いられる場合が多くあります。

また、意識が無かったり、治療のために鎮静剤を用いて意図的に入眠状態を作っている患者さんもいます。

人工呼吸器、人工透析の機械、補助循環装置等の生命を維持するために必要な機材を用い治療を行う患者さんもいます。

よって、看護師は、その疾患に対応できる幅広い医療知識と丁寧で苦痛を与えない看護ケアを持っていることが条件です。

意識レベルのアセスメント技術

意識レベルの判定は重要です。

意識が清明か、混濁状態か、意識が無い状態かにより看護師のその方への対応は異なります。

意識状態が清明であれば、その状態や療養法などを充分に説明し、不安や恐怖がないよう関わる必要があります。混濁状態にある患者さんには、声をかけ、分かりやすいよう説明したり、混乱を来たさない対応が求められます。

そして、時にパニックや状態悪化を来たす行動にうつりそうな状態があれば、安静が保たれるよう、医師と連絡や情報共有を行い、鎮静治療を成す場合もあります。

また、無意識状態では、意識が無いからと言って心ない対応はいけません。

意識が無くても、耳は聞こえていたり、脳裏で何かを感じていることがあるかもしれないと考え、声をかけ、驚かせないよう丁寧な対応が求められます。

また、意識状態は患者さんの状態を現す指標ともなり、充分な観察が必要です。

意識の無い患者さんが、反応を起こす場合もあります。その時の為にも、意識状態のアセスメントが看護師に求められる重要な技術です。

患者さんと関わる際の注意点の把握と、患者さんの意識レベルの変化に対応するために、意識レベルのアセスメント技術を求められます。

快適さを提供する看護技術

集中治療室に入室する患者さんは、非日常を味わっています。

自分以外の患者さんの治療器具の機械音、自分の治療で起こるモニター音、騒々しい様子や、急変や異変が同じフロア内で起こっていると言う認識を持つ患者さんもいます。

通常で無い状況で療養を行う患者さんが、不安を軽減し快適さを感じながら生活出来ることをサポートする技術も必要です。

朝になれば日を感じられるような工夫、人と人との関わりを感じられる挨拶や言葉かけ、環境調整や清潔ケアにより、少しでもリラックスできるケア技術が必要です。

意識の有無にかかわらず、自分で自分の事が出来ない状況にある患者さんを安心させ、安楽に療養できる看護技術を求められます。

バイタルサイン測定技術

集中治療室での患者さんは、いつ急変や異変が生じてもおかしくありません。

正しくバイタルサイン測定を行い、モニタリングを行う事で、異常ソ嘔気発見に努めることが看護師の役割です。

モニター中の心電図計がきちんと装着出来ているか、血圧計のマンシェットや、酸素飽和度のプローブがきちんと装着してあるか等、バイタルサインがきちんと読みとられるようチェックしなければなりません。

異常の早期発見

患者さんの観察をもって異常早期発見に努めます。

観察力と判断力が必要ですが、集中治療室に入室する患者さんは、多数の診療科で、あらゆる疾患や病態の対応します。

よって、内科、外科、循環器科、血管外科、腎臓内科、腫瘍科、小児科などあらゆる疾患に対する知識や技術が必要です。

その患者さんの異常を早期に発見するための幅広い医療知識を有する事が求められます。

患者、家族のメンタルケア

手術後、急病後に入室する集中治療室は、患者さんとご家族の不安にまみれた医療現場です。

今後の予後や状況、今なされていることへの認識不足により、パニックとなる場合があります。

よって、家族には今の現状を充分に説明し、今後起こりうる事象を分かりやすく説明し、納得できるようコミュニケーションを図ります。

そして、今後の治療選択を強いられる時には、意思決定を促す説明と支援を行います。

患者さんの対しては、分かる患者さんには充分な説明を行い、意識の薄い患者さんには、苦痛を与えないケアときめ細やかな言葉かけにより、安心できる療養をサポートする事でメンタルケアを行います。

まとめ

意識の有無にかかわらず、配慮と安心に関わるケアを行う事が必要な集中治療室ですが、「聞こえていた」「遠い向こうで何かが聞こえていた」と看護師の言葉掛けや家族の手のさすりなどを認識されていたケースがありました。

もしかしたら、何か伝わっているかもしれないと考え、優しく思い遣りある看護で患者さんの回復を支援する姿勢も大切ではないでしょうか。